2026年労働基準法改正
2026年、労働基準法が約40年ぶりに大改正されると注目を集めています。
現在(2025年秋時点)、法案そのものは成立しておらず、労働政策審議会・労働条件分科会での審議が続いています。
今回の労基法改正で審議されているのは、主に以下の7項目です。
1. 連続勤務の上限規制(14日以上連続勤務の禁止)
2. 法定休日の明確な特定義務
3. 勤務間インターバル制度の義務化(原則11時間)
4. 有給休暇時の賃金算定における通常賃金方式の原則化ルールの明確化
5. つながらない権利に関するガイドラインの策定
6. 副業・兼業者の割増賃金算定における労働時間通算ルールの見直し
7. 法定労働時間週44時間の特例措置の廃止
特に運送業界で影響が大きいと思われる
「1.連続勤務の上限規制(14日以上連続勤務の禁止)」と「2.法定休日の明確な特定義務」について解説します。
1. 連続勤務の上限規制(14日以上連続勤務の禁止)
定期的な休日の取得を目的に審議されているのが、連続14日以上の連続勤務の禁止です。現行の労基法における法定休日は、
1週間のうち少なくとも1日の休日を付与することが義務付けられています。
ただし、特例として「4週間を通じて4日の休日を付与」すれば、週休1日制の適用を受けないことが認められています。(就業規則等への規定が必要です。)
この特例は、「ある特定の4週間に4日の休日を設ければよい」とするもので、どの4週間を区切っても4日の休日を設けなければならないというものでありません。
そのため、理論上では長期の連続勤務が可能になってしまう点が問題視されています。
タクシー会社では、この特例を活用して、勤務シフトを作成している会社も多いようです。
この法令が施行されると特例は活用できず、1週間のうち少なくとも1日の休日を付与することが義務化されますので、
今後の改正動向を注視する必要があります。
2. 法定休日の明確な特定義務
前述のとおり、法定休日は、1週間のうち少なくとも1日の休日を付与することが義務付けられていますが、どの曜日を法定休日に特定するかの義務はありません。
昨今は、多くの企業が週休2日制を採用している現状から、法定休日と法定外休日の区別が曖昧であり、
休日労働した場合の割増賃金の取り扱いは法定休日と法定外休日とで異なることから、法定休日が特定されていない場合、割増賃金の未払い問題に発展する可能性があります。
法定休日に関する法律を明確にし、労働者の権利を守り、かつ企業の法律上のリスクを回避するのが、法定休日の特定に関する提言です。
変形労働時間制を採用しているタクシー会社や運送会社では、勤務シフト作成時に法定休日と法定外休日を明確にする必要が出てきます。
また、法定休日と法定外休日に労働した場合は、法令で定められた率の割増賃金を支払う必要が出てきますので、公休日の出勤には留意が必要です。
